反社リスクとは

反社リスクとは、企業が直接的に反社会的勢力と接触し、交渉を有することによって生じうる不利益、または、企業が外部から反社会的勢力と評価され、あるいは反社会的勢力と密接に取引していると評価されることによって生じる不利益をいいます。

政府が2007年(平成19年)に策定した「反社指針」では、「企業が反社会的勢力と直接あるいは間接的な関係を維持すること(=取引を含めた一切の関係遮断をしなかったこと)の危険性」と定めています。

企業の反社リスクの種類

企業の反社リスクには、いくつかの種類があります。

(1)不当要求
不当要求被害とは

「不当要求被害」とは、企業が反社会的勢力からの不当要求を受けて営業活動が混乱・停滞し、企業としてその対応に苦慮することです。 反社会的勢力が取引相手や訪問者となって、会社に対して不当な要求を突き付けてきたときに、会社の業務が混乱したり、金品を脅し取られたりするのが典型例です。 このような不当要求被害についての反社リスクは、反社会的勢力対応マニュアルを作成し、そのマニュアルを実践するという対応策が有効です。

(2)レピュテーション
レピュテーション被害(風評被害)とは

レピュテーション被害(風評被害)とは、反社会的勢力との取引が世間に知られることで、評判や評価が悪化することです。もしも企業が、警察や不当要求情報管理機関その他の各界データベースに「反社会的勢力」と登録された場合、金融機関や取引先は、反社会的勢力と評価された企業とはその後の取引を拒絶、あるいは取引量を減らして距離をおこうとするでしょう。そのような事態は、会社が反社認定された場合だけでなく、グループ会社が反社評価を受けた場合でも同様に起こりうる事態です。そうなれば、会社の営業活動は、すぐに立ち行かなくなる恐れがあります。

レピュテーション・リスク

反社関連の風評被害の危険性のことをレピュテーション・リスクといいます。レピュテーションリスクに直面した場合は、警察OBや民事介入暴力に精通した専門家で組織する第三者調査委員会を設置するという対策が考えられます。第三者委員会での調査過程と調査結果を内外に公表して、原因の究明と信頼回復に努めるのです。

風評被害を回復するには、風評が実体を伴わないものであること、つまり会社が反社会的勢力ではないことを十分に立証しなければならず、それは困難を極めます。運よく風評の虚偽性を立証できたとしても、それまでに業績の悪化が深刻化している恐れがあります。

レピュテーションリスク対策

レピュテーション・リスクに対する有効な予防策は、反社会的勢力であると評価されにくい企業(反社リスクに強い会社)にすることです。

反社決別宣言

企業のウェブサイト等で反社決別宣言を行い、それを外部に公表し、内部に浸透させます。また、すべての基本契約書に暴力団排除条項を導入し、取引の相手から、反社会的勢力でないことの表明・確約書もとりましょう。

コンプライアンス委員会

警察OBや民事介入暴力に精通した専門家で組織されるコンプライアンス委員会を創設し、反社会的勢力排除に向けた継続的かっ真剣な取組みを実践し続けることも有用でしょう。